Aikido Prenzlauer Berg の道場は、Gleisdreieckの道場に所属するブラジル出身の女性の紹介で知り合った、青志会の端野さんが所属する道場です。フランス出身のChristian先生が指導されています。もともとは、同じくフランス出身のChristian Tissier先生に師事していたそうです。私は週一回、火曜日の稽古に参加させていただきました。

 火曜日の稽古は、だいたい6,7人ほどの人数で稽古をしていましたが、ほかの曜日だともっと多く、10名以上はいるとのことでした。Christian先生も「コンタクト」についてよく説明されていましたが、Gleisdreieckの道場の先生方よりも、「当て身」と「動きの流れ」に重点を置いている印象を受けました。ちょっとでも動きを止めると、「当て身」をたびたび入れられましたし、動作も大きく、取りもよく投げ、受けも良く跳ぶな、と稽古全体を通して感じました。準備体操の後に、必ず体裁きを複数回繰り返し行っていました。Gleisdreieckの道場でも必ず行われていましたが、身体の動かし方や転換を大切にされていて、今思えば毎回入り身投げをしていた気がします。

 こちらの道場で一番驚いたのは、首投げです。ある日の稽古で、比較的終わりの時間帯の見取りで、先生がいきなり首投げを始めたときは驚きました。首投げなんてしたことがなかったため、そんなことまでするのかと正直思いました。一回目は背の高いドイツ人男性と組みました。ファッション系のお仕事をされている方で、髪型もよくセットされていた方なので、私が相手の髪を何度も乱してしまい、申し訳ない気持ちになりました。二回目は、白帯の女性の方と組み、二人しておっかなびっくり稽古をしていました。首投げを稽古でするという、日本では滅多にできない貴重な体験をすることができました。

 Prenzlauer Bergの道場に通っている方々もユニークな人が多く、特に印象に残ったのが、自身でファッションブランドを手掛けている女性です。Blessという、日本でも知っている人は知っている人気高級ブランドということですが、恥ずかしながら私は一切知りませんでした。Blessのベルリンのショップで店長をされている方もこちらの道場に通われていて、なんと美容師をされている日本人の男性でした。この日本人の方が働いているショップというのもとてもユニークで、合気道の話から逸れてしまうのですが、アパートの一室がショップ兼店長の住居になっていて、かつ要予約でヘアカットもできてしまう、文章にするととても不思議だけれども、実際はかなりおしゃれな空間になっていました。

 なぜこのファッションデザイナーの女性が特に印象に残ったのかというと、この女性が作る洋服に合気道の要素が表現されていたからです。大胆にプリーツがあしらわれているズボンが、ショップを訪れた際に展示されていました。このズボンのプリーツが、よくみると、合気道の袴のプリーツになっていたのです。店長いわく、このズボンのプリーツはほかにはない形をしているということで、日本でもよく売れているそうです。さらにこのズボンの特徴的なプリーツを真似して、同じようなズボンを作って販売しているブランドも日本にあるとか。聞いた話によると、このファッションデザイナーの女性が合気道を始めた理由というのも、袴に魅了されたからだそうです。合気道から発想を得たファッションが日本に逆輸入されていたとは、ベルリンに来なければ知ることもできませんでした。

Aikido Prenzlauer Berg の道場のHP
https://www.aikido-prenzlauerberg.com/